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【恵那市笠置町移住者インタビュー】藤村さん夫妻 【川崎から岐阜県へ】

執筆者の写真: 笠置町 恵那市笠置町 恵那市

更新日:2021年10月17日


藤村聡樹さん、美智さん


[プロフィール] 2015年4月に川崎市から笠置町へ移住

      聡樹さん:静岡市出身 前職は庭師

           美智さん:高知県出身 前職は保育士,栄養士


Q.笠置町移住の経緯を教えてください。

 A.土の上にいないと自分の所在が不安定に感じた。


聡樹:静岡市の海山川に近いところで育ちました。川崎市で結婚してからはお金を稼ぐために運送業をしていましたが、全てコンクリートとアスファルトの上にいる生活に疑問を感じ、田舎に行きたいとずっと思っていました。土の上にいないと自分の所在が不安定に感じていたのです。その後、庭師になり、常に土の上にいる仕事になったので、田舎に行きたい気持ちは薄れていました。


美智:私も田舎に行きたかったのですが、父と義母との同居でしたので、すぐには無理だと思っていました。父が他界して2年経った頃、もういいかなと思い、真剣に田舎移住を考え始めました。子どもも独立しておりましたので。


聡樹:それからは「ここに住めるか」という観点で旅行をしました。そうこうしていたら、恵那で暮らしていた友人がご主人を亡くし、一人では暮らせないからと川崎に帰ってきていました。田舎で暮らす場所を探しているという話をすると、恵那の家はどう?と。それがこの家です。関東と違って風が穏やかで景色が素晴らしい所だったので気に入りました。ただいくらなんでも山奥すぎるし、家はボロボロで、リフォームして良くなるイメージがありませんでした。


美智:「ここだ」とピンときました。直せばよくなると思いましたし、年齢を考えて、今でなければと思い決めました。


聡樹:3度来て検討して移住を決め、半年かけてリフォームしました。屋根を替える大工事でした。


Q.笠置町で暮らしてみてどのように感じてみえますか?

 A.自分で色々なものを整えなくてはいけない。でもそれが楽しい。


聡樹:前の住人である友人に近所の方を紹介してもらい、農家さん、陶芸家さんなど面白い人に出会いました。ここは人口の割に変わった人が多いという印象を持ち、「ここは生きやすいかも」と思いました。都会では家の中で子どもが泣くと近所に気をつかうのとはずいぶん違います。


美智:ここでの生活は毎日やることがたくさんあり、自分でいろいろなものを整えなくてはいけないですが、それが楽しい。


聡樹:水の流れが大事だということに気が付きました。雨が降れば水が流れる。「凍み崩れ」と言って霜柱が立てばそれが溶けて崩れていく。家の周囲が日々崩れていきます。


 それで石垣を作らないといけないということになって、地元の匠の職人にお願いしたところ、若いから自分でできるやろうと、やり方だけ教えてくれて、あとは自分たちでやりました。何でも自分でやる文化ですね。美智は棚やテーブルを自分で作り、石垣まで積みました。


美智さんが積んだ美しい石積み

 狩猟免許をとってイノシシの屠殺、解体もやりました。肉を自分で手に入れることで、「ああ、こういう風にできていたんだ」と、一からやることで初めて分かりました。止め刺しする時は、やはりかわいそうで皆でお祈りしながらやります。真っ赤な血が流れます。さっきまで生きていたものです。食とは「命をいただくこと」だと、かつて生意気なことを自分の口で言っていたけれどもこれは空虚な理屈でした。そんな一言で片付けられないような、人類が何千年もやってきたことです。これまでは全てお金を払って人にやらせてうまいとかまずいとか言っていました。


 2年目から田んぼを借りて昭和40,50年くらいのやり方で米作りをして、こんなに大変でこんなに嬉しいものかと思いました。それでも大変な作業で、穂が出た時は孫が生まれた時と同じくらい嬉しかったです。稲刈りの時には命を断ち切ってオレの命になるんだと思いました。


収穫の喜びの笑顔

 米に対する信仰があることが分かりました。どんど焼きや秋祭りや泥休みなど、皆米作りを中心にしていました。毛呂窪には秋祭りで「剣の舞」があり、自分も笛で参加しています。今年は神事だけで舞の奉納をしましたが、まさに疫病退散のための舞ですので、ぜひやらなければということでした。舞の時は皆が一つになっている感じがあってすごかったです。音楽も皆が一つになれますが、それだけでなく思いで一つになる感じ、宗教心のような感じでした。


美智:そういう神聖な感じは住んでみると分かるものです。ここで育った人は頭ではなく、きっと体のどこかに染み込んでいるのだと思います。


Q.お仕事は何をされていますか?

 A.庭師です。「仕事がない」というのは、ウソでした。


聡樹:こちらでも庭師をやりたかったのですが、人に聞くと「仕事はないよ」と言われました。それで恵那や中津川の親方のところで2年ほど働きました。⾃分は植物マニアのところがあって、植物と丁寧に向き合う仕事がしたいと思いましたが、そういう仕事は会社組織ではなかなかさせてもらえませんでした。


 とはいえ、ここで独立して良いのか悩みました。そこで、市の暮らしビジネスサポートセンターに相談し、独立したいけど自信はないという悩みに、色々話を聞き自分の想いを引き出してくれました。田んぼや山の手入れをしながら、月20日以上働かない、月30万円以上稼がないというスタイルであれば「絶対いけるよ」と言ってもらいました。お客さんと植物を大事にしながらやっていくというスタイルは皆さんに喜ばれると言われました。それが後押しになって独立しました。


 チラシを作って猟友会や自治会で配ったりしました。庭木の手入れだけでなく草刈りから果樹の手入れまで何でもやる「緑の便利屋業」というコンセプトにしました。実際始めてみると田舎の口コミの早さはすごくて、2年で100軒のお客さんがつき、3年目になるとやりきれないほど注文が来ました。


植物を愛する藤村さんは、緑の便利屋さん

「仕事がない」というのはウソでした。それはまるで標語のように「仕事がない」と言っているだけではないでしょうか。都会にいたら独立できなかったと思います。都会はお客も多いが庭師も多い。土場を借りるのにも高いお金がかかる。田舎なら経費をすごく安くできます。近場の顧客が多いので、通勤時間が短いのもいいです。気づいたのですが、笠置に来ている移住者は自営が多いですね。


美智:最近アルバイトを始めました。旅館のフロントと、蛭川の森のようちえんに時々行っています。


Q.自治会や地域の活動はどうですか?

 A.祭や道づくりに参加して、自治会は素晴らしい組織だと思った。


聡樹:最初は自治会に入りませんでした。「引っ越してきた時に班⻑と⾃治会⻑に挨拶に⾏ったところ、「そこは別荘地なので、自治会には入る必要はないよ」と言われました。でも自分は入りたかった。祭や道作り、どんど焼などに参加させてもらう中で、これはすばらしい組織だと思った。


 川崎では隣の人は知っていてもその隣はもう知らない。挨拶をしても返してもらえないようなところでした。川崎では月200円の自治会費を払うだけで何のメリットもありませんでした。 こちらは年間いろいろ足すと4万円でやることも多く、それでも入れてほしいと思いました。それでお願いしたところ、別荘地から自治会に入るという前例はなかったのですが、入れてもらえました。


 今までは何でも公金でやるのが当たり前と思っていましたが、こちらではみんなで道を守るというのが大事だと教えられました。また月1回顔を合わせるのもいいですね。川崎では町内の人をほとんど知りませんでしたが、ここでは25軒ほとんどの人の顔がわかります。

どんど焼きはみんなで持ち寄りなのですが、とても盛り上がります。


美智:火を使うから気持ちが盛り上がるのだと思います。


Q.不安や不満に思うことはありますか?

 A.自治会費が高く、役が多い。


美智:もっと年をとった時に、階段や坂を登れなくなると困るな、いつまで奥山に住めるかなと思います。足腰元気で車が運転できれば大丈夫なので、もう少し住めそうです。また、彼が人と接することが好きなので、外交をきっちりやってくれて助かっています。住み始めてしばらくしたころ「奥さん出かけてたね」と言われて、監視されているような感じがしてびっくりしましたが、今は監視というよりも家族の延長のような気持ちで見守ってくれているのかなと思うようになりました。それは安心にも繋がっているなと。


聡樹:この役は必要なのか?と思う役が結構ありますね。公民館などの施設の維持費がかかり、自治会費が高いです。ただ今までの人たちが苦労して作ってきたので、簡単に「要らない」とは言えないです。


さいごに

聡樹 :農業も自治会も知らないことばかりで、ここに来て学んだことが多く、皆さんにお世話になっています。里にいれば山のことは分からない。都会にいれば中山間地の事は分からないです。日々変化する美しい景色を眺めつつ、様々な経験や学びを得ることできて、移住してきて良かったです。


▽関連リンク


緑の便利屋さん 山奉仕(やまぼうし)




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